大阪府の広報担当副知事を務めるマスコットキャラクター「もずやん」が28日、松井一郎知事(54)の「忖度(そんたく)」で「降格」のピンチを逃れた。

 もずやんは昨年12月末までの1年間、副知事の「降格」をかけて認知度アップなど5項目に取り組んでいたが、2つの数値目標が達成できず、松井知事の「沙汰」を待っていた。

 この日午後、もずやんは知事室で松井知事と面談し、4月からの処遇についての辞令を受け取った。松井知事は「もずやん、広報担当副知事の降格を考えたが、特例により再任をする」と読み上げた。「あくまでも特例なので、特別扱い。(大相撲の)かど番だということを忘れずにやってほしい」と激励された。

 松井知事は特例の理由として2つ挙げた。

 「これは忖度です。降格をしようと思っているところ、もずやんの関係者が『ぜひ残してほしい』などのさまざまな“圧力”があった。もずやん周辺の人々の気持ちを忖度した」

 「もう1つはもずやんの生い立ちを考え、もう少し時間を与えてもいいのかなと思った」

 もずやんの前身は1997年に大阪で開かれた国体のマスコット『モッピー』。大阪府の鳥に指定されている「モズ」をモデルにした。3年前に府内にいた92体のキャラを整理し、モッピーを府の「顔」にしようとしたが、あろうことか「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」が商標登録していたことが判明。名前の変更を迫られて公募し、決まったのがもずやんだった。

 松井知事は生い立ちを踏まえ、こう説明した。

 「大勢の人の身勝手さで国体のキャラクターとして生まれ、国体が終わると、だれからも相手にされず、モッピーという名前すら他に取られ、自分の名前も失った。かわいそうな生い立ちを考えれば、一挙に降格させるのは忍びない。今回は5つの目標のうち2つはクリアしたので、あと2つを頑張るようにとの思いからの特例です」

 再任の辞令を受けたもずやんは両手? を挙げて大喜び。決意として3つの目標を表明した。

 <1>府民の認知度75%

 <2>ツイートの閲覧数(月平均)200万件

 クリアできなかった数値目標に加えて3つ目の目標として新たに

 <3>万博開催地 大阪決定

 もずやんの「一鳥懸命(一生懸命)がんばる」のコメント。松井知事は「これができへんかったら、来年はないな。自分の掲げた3つをクリアできなかったら公務員をしては無理となる」と厳しい言葉に投げかけた。