「野球盤」で知られる玩具メーカーのエポック社が4日、都内で行われた創業60周年記念イベントで、9日発売の新商品「野球盤3Dエース モンスターコントロール」の概要を明らかにした。

 今回の「野球盤3Dエース モンスターコントロール」には新機能として

 <1>高中低、左右中央9方向への投げ分けが出来る「3Dコントロールピッチング機能」

 <2>投球の高低差に対応できるよう、打者に搭載された「3Dスラッガー機能」

 <3>「スピードガン電光掲示板機能」

の、3つの新機能が搭載された。

 テレビの野球中継では、捕手の前に四角が9分割された投手の配球分析チャートが出てくるが、今回の新野球盤の投手は、そのコースにボールを投げ分けることが可能だ。前田道裕社長は、同機能について「コントロールのいい投手。意図して三振が取れる。スポーツとして野球をやっている、プロからアマチュアまで、ありとあらゆる投手が打者を翻弄(ほんろう)し三振を取っている。生身の人間が必死でやっている、戦略と実行が可能な野球盤」と説明した。

 投手が9方向に投げ分けられることに対応し、打者も高低差に対応して打てるようになっている。同社長は「明らかに今までの野球盤より次元が上がっています」と説明した。

 野球盤の制作、販売のために1958年(昭33)に創業したエポック社は、78年に人工芝球場、88年には東京ドームを元にした「ビッグエッグ野球盤」と、プロ野球の進化と時代に即した野球盤を作り、発表し続け、58年の発売から1400万台以上を売り上げてきた。10年には新しい高反発バットを作ってアーチを可能にし、15年には投げた球が空を切る3Dピッチングを開発し、野球盤を進化させてきた。

 その同社にとっても、実際の野球を、投手と打者の戦略面まで再現した「野球盤3Dエース モンスターコントロール」は、革新的な新玩具だという。さらに野球盤の最新機能も「3Dピッチング&ホームランバッター」も搭載しており、投手の投球が宙を飛び、打者の打球がアーチを描いてスタンドインするリアルな野球を盤上で再現可能な上、従来からあるカーブ、シュートの変化球や「消える魔球」も健在だ。

 この日、イベントに登壇した関根勤(64)は「野球盤で青春を過ごしてきた」、「全て知り尽くしている」と語るほど野球盤を知り抜いているが「野球盤3Dエース モンスターコントロール」にはビックリ。「(これまで投げられないボールを投げる)投手が有利。でも、やり込んでいけば、打者もレベルが上がってくる。10何点とか入ることはない、2~3点勝負の投手戦になる」と感心していた。

 記者も実際、プレーしたが高め、低めに投げ分けられるのは、野球盤においては新たな感覚だった。「次、どこのコースに、どのような球を投げようか」などと考えれば考えるほど、勝負は熱くなりそうだ。また、打者が投球に高低差を合わせてきちんと打てば、宙にボールが飛ぶ。その感覚は、実際の野球に近い。野球盤が、さらに実際の野球に近づいたという、前田道裕社長の言葉は間違いなさそうだ。【村上幸将】