台風21号の影響でタンカーが衝突して連絡橋が通行できず約5000人が孤立した関西空港で、取り残された利用客らは5日朝から神戸空港へ輸送する高速船「神戸-関空ベイ・シャトル」の臨時便で神戸空港島に順次運ばれた。同島のターミナルに着いた利用者は一様に疲れ切った表情を見せた。

午前11時すぎ、神戸空港島に到着した京都市に住む大学1年の稲田太地さん(18)は「関空ではコンビニは2時間以上、船に乗るためのバスで2時間、船の乗るには4時間以上、行列だらけだった」と振り返った。

稲田さんとタイ旅行に行く予定だった大学1年、水野晴仁さん(18)は「スマホの電波がつながりにくく、自分たちがこれからどうなるのか、まったく情報がとれない状況。不安で夜は眠れなかった」と関空からの脱出に胸をなでおろした。

韓国に出張予定だった大阪府寝屋川市の会社員の男性(35)は、コンビニに並ぶ気力もなく、昨夜から口にしたのはお土産店で買ったお菓子だけ。「想定外の出来事かもしれないが、館内放送などいっさいなかった。スマホもつながらず、まさに孤立状態だった」。

5日午後、関空から神戸への高速船は次々に到着。同日深夜まで、1時間に2本をめどにしている。関空からの脱出劇が続いている。