★高市政権とそれを支える自民党は会期末を前に野党の審議拒否など厳しい状況を強いられている。定数削減法案や副首都法案の可決が見込めないためだ。そこで憲法59条の法案の衆院通過から60日以内に参院で採決されない場合、否決されたとみなすことができると規定を利用し、衆院の3分の2以上の賛成で再可決し、成立させる方法を延長して野党抜きで衆院の再可決で成立させたい考え。自民党と握り合い政局を暗躍した国民民主党参院幹事長・川合孝典らが「参院軽視も甚だしい」と強く反発。自民党内にも「こんな法律のために自民党の信頼を落とすだけの価値があるか」との声もある。

★しかしながら、この事態を招いたのは首相・高市早苗自身。強引に解散総選挙をやり本年度予算は年度内に成立せず、選挙であれだけ言っていた消費税ゼロや物価高対策、国民生活の向上よりも最優先で「国旗損壊罪」を新たに設けるための法案を30日、衆院本会議で可決させた。つまりやるべきことをやらずにやりたいことだけやってきた結果でしかない。「増して外交音痴、政局音痴、議会運営・国対音痴ときたものだ。つまり首相に政局感などというものはない」(自民党ベテラン議員)。それでも衆院の自民国対は丁寧に高市を説得してきたものの、全く話を聞かない。ことに緊張感のある参院は衆院のように与党は自由に振る舞えないが、参院は「院の権威やプライドを傷つけると与野党関係なく一致団結する」という性質を秘める。正に延長論は「参院軽視の極み」だ。政治や議会は先人の経験と教えで成り立つ。

★その失政に自民党がありとあらゆる先例を利用しこの内閣を支える様を見るのは滑稽と言える。しかし自分たちで選び担いだ党総裁なのだから自業自得ともいえる。ある自民党議員は「前首相・石破茂は慎重に少数与党を運営したが、すぐ党内から引きずり降ろされた。なぜ高市政治の方がひどいのに自民党は支えるのか」。(K)※敬称略