将棋の羽生善治九段(48)が4日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第60期王位戦挑戦者決定リーグ白組プレーオフで永瀬拓矢叡王(26)に勝ち、通算勝利数単独トップの1434勝を達成し、故大山康晴十五世名人の最多勝記録を約27年ぶりに更新し、会見を開いた。

ここまで勝利を積み重ねられた秘訣(ひけつ)について「ある程度、終わったところからきれいサッパリ忘れること」と語った。

羽生九段は「30年以上、やっているので、全ての対局を覚えているということではなくて、負けることもやっぱりあるので、反省、修正はしないといけないとは思っています」と口にした。その上で「きれいサッパリ忘れて、その次に臨むのが、長く続けていくのには大切なことなのかなと」と静かな口ぶりで語った。

勝負への執念と集中力が、どこから来ているか? と質問が飛んだ際も精神面、気の持ちようについて持論を展開した。

羽生九段 将棋は基本的に、一手間違えると、すぐ逆転してしまうことことが非常に多いもの。形成が良い時もそうですが、悪い時に最善を尽くしていって、チャンスを待つという姿勢が大事。プロ同士の対局…そんなに簡単には逆転することはないですが毎局、根気強くやることは心がけています。

そう語った上で、羽生九段は「ただ、それが自分自身の強さにつながるかどうかは、ちょっと分からない」と言い、苦笑した。【村上幸将】