自民党の小泉進次郎厚労部会長は14日、「忖度(そんたく)」発言で苦戦が伝えられている新潟選挙区(改選1)の自民党候補、塚田一郎氏を応援するため新潟市などで街頭演説し、失言問題にあえて触れることで「今の選挙の空気を変えたい」と、訴えた。

発言について「批判されるべき。だめ」と苦言を呈した上で「あの発言に触れてはいけないような空気があるが、みんなが知っている。触れないように触れないように選挙をやっているようじゃ、この選挙は勝てない。いちばんひりひりするところに触れなければ、国民の腹の底に落ちない」と指摘。失言問題に、真摯(しんし)に向き合うべきとの認識を示し、塚田氏の方を向いて「私はそういう意味で(塚田氏に)忖度しません」と、話しかけた。

一方、自身が前日の13日、遊説から夜中に帰京後、自室のクーラーが壊れていたことを忘れて動かし、ベッドが水浸しになったことを引き合いに「今日は『失敗』について話にきた。私も、失敗しました」と告白。「誰にでも失敗はある。大事なのは失敗を繰り返さないようにすることだ」と述べ「塚田さんも何であんなことを言ったか毎日悔やんでいるはず。1度失敗したから終わりではない。挽回のチャンスを与えてほしい」と理解を求め「(苦戦からの)番狂わせを起こしましょう」と、訴えた。

その上で、批判される側に対する社会の風潮について持論を展開。「出る杭(くい)は打たれる。1度打たれたらとことんまで打たれ、ネットで炎上するとたたきつぶし、しばらくすると飽きる。毎週毎週だれかをたたくことを繰り返している社会。こんなことを続けていて、誰が幸せになるのか。そういう今の日本社会を変えたい」と述べた。

新潟選挙区は、与野党ともに落とせないとしている大激戦の1人区。塚田氏と、事実上の一騎打ちを展開している野党統一候補で、無所属の打越さく良氏はこの日、JR新潟駅前で国民民主党の森裕子参院議員らとともに街頭演説し、支持を訴えた。【中山知子】