最初はある種の期待や高揚感、それがだんだん「?」の思いに変わり、最後は大きな徒労感。これが、今年2月18日に召集された特別国会に対する正直な心境だったのではないだろうか。最後に8日間延長された会期の事実上の最終日となった24日、国会が夜まで大混乱したのも、単純な「与野党の攻防」だけではなく、そこには高市首相や官邸の思惑も関わっていた。だからこそ、連立政権を組む日本維新の会の「肝いり」で、この国会での成立を譲らなかった副首都法案が、最後の最後まで「政権の足かせ」(野党関係者)となり、体力を奪い続けた。それは、すとんと腹落ちしない説明を続ける与党も、それに問いを続ける野党も同じだっただろうし、日付が変わる直前の深夜までかかった国会最終日の徒労感は想像を上回るものだった。
特別国会を振り返れば、高市早苗首相の国会への出席問題とか、SNSを発信の主戦場とし国会に来ての答弁が歴代首相に比べてかなり少ないとか、出てきたら来たで、なんだかすっきりしない言葉も多かったりしたことが、徐々にクローズアップされていった。女性初の内閣総理大臣に就任し、期待が大きかった反面、多くの人が持っていた「期待」の枠に、首相のキャラクターがなかなか収まらない、はまらないこともあってか、国会終盤では多くの世論調査で内閣支持率も下落に転じた。今年春ごろ、取材に「何があっても、選挙であれだけの支持を得た高市首相だ。支持率が下がるなんてことは、そうそうない」と断言していた政界関係者は、国会終盤には「国民が期待した物価高対策が目に見える形で進んでいない。対照的に、自分がやりたいことや、『維新法案』を優先しているように見える。順番が違うだろ、ということなんでしょうね」と苦言を呈していた。
衆院選での歴史的な高市自民党の圧勝から、まだ5カ月だ。選挙で得た「数の力」が、どこか違う形で威力を発揮し続けてきた。前出の関係者は「国民にとってみれば、『聞いてないよ~!』というところでしょう」と、ダチョウ倶楽部の鉄板ネタを引き合いに、最近の内閣支持率の下落に関して指摘していた。
内閣支持率が下落に転じた際、過去の政権では時に外交に活路を求めたり、サプライズの政策を打ち出すケースがあった。近く、スピードスケート女子で五輪通算10個のメダルを獲得した高木美帆さんへの授与が行われる国民栄誉賞についても、時の政権が「政権浮揚」を意識して検討するケースもあったと聴いたことがある。ただ、それだけで支持率が上向くわけではない。国民が求めていることを何でも実現してもらわないといけない、ということではなく、昨年の首相就任後の所信表明で「この内閣の最優先課題は物価高対策」と言った以上は、そこに目に見える形でのリーダーシップを投じた上で、道筋が立てば、自分や連立政権の「肝いり」案件に踏み出していくことが必要だったのではないかと、感じる。
長く国会を見てきた関係者に話を聴くと、「本当に、よくよく考えた上でならいいけれど、皇室典範や国旗損壊処罰法、(維新が求める)定数削減や副首都のように、今やらなければいけないことの根幹からずれているようなことで『これが絶対だ!』ということになると、国民からはなかなか理解されないのではないか」と、高市首相の政権運営に疑問を呈していた。
国会での答弁の少なさをたびたび指摘されてきた高市首相だが、混乱のあおりで、延長国会最終日に行われるはずだった衆院予算委員会での集中審議が飛び、明日7月27日にずれ込んだ。24日の日程をめぐる調整の中では、副首都法案が夜に参議院で成立した後、自民党の質疑時間をなくすなどして野党の質問だけを受ける集中審議をやってしまう案も取りざたされたという。金曜日の夜遅くとなればテレビ中継があるかどうか分からず、「どさくさ紛れ」との声も聴いた。さすがにそんな時間に行えば、首相や閣僚、議員だけでなく、国会職員や警備担当者らの負担はさらに増す。この案は見送られ、週明けへの先送りとなった。
多くの人が「特別国会最後のヤマ場」と見ていた予算委員会は、閉会後の集中審議という形で仕切り直しされる。前回の衆院予算委集中審議では、「中傷動画」問題をめぐる一連のやりとりで、「秘書による陳述書提出」などの首相の答弁に反発した野党が審議に応じなくなるきっかけとなった。あれから1カ月あまり。その間だけでなく、国会最終日の24日だけでも、いろいろなことがありすぎた。24日の混乱国会を前提にしていない時間設定ではあるのだが、本当は、3時間の質疑ではちょっと物足りないような気もするのだが。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)


