参院選で東京選挙区から比例区に転出して立候補した、れいわ新選組の山本太郎代表(44)の落選が、22日未明、確実になった。山本代表は同4時45分に会見場に姿を見せると「一切、後悔はありません」と言い、支援者に笑みを見せた。そして今後、行われるであろう衆院選の出馬について「出るしかないんじゃないですか?」と出馬を明言した。

東日本大震災と福島第1原発事故に危機感を抱き、11年に脱原発を宣言。市民活動に身を投じ、6年前の参院選で東京選挙区から初当選した。その立場を、沖縄創価学会壮年部の野原善正氏(59)に譲り、比例区に転出し出馬。その上で今回、導入された「比例特定枠」を使い、優先的に当選できる比例1位に難病のALSの舩後靖彦氏(61)、2位に脳性まひで重度の障がいがある木村英子氏(54)を擁立し、2候補は当選確実となった。

一方で、2候補の当選と引き換えに、午前6時段階で88万票あまりを獲得しながら自らの議席は失った。山本氏は、立候補者10人の当選を目指したとした上で「5人、通そうかなと思ったけれど自分も落ちた。ただ、最初は東京選挙区1つだった議席が2になり(得票2%で)政党要件もついた」と、2議席獲得を得票2%で政党要件を獲得した成果を強調した。

選挙戦では消費税を廃止する一方で法人税、所得税を累進課税にして、大企業と富裕層から税を取ると主張。保育士、介護士を公務員化して公務員を増やすなど、市民目線に立った政策を分かりやすく訴え、ムーブメントを起こした。要因を聞かれると「そろそろみんな、怒る時にきているんだと。生活が大きく変えられた人がたくさんいる一方、好景気を享受した人もいる。この国の1人1人におもんぱかるのが政治、ということに賛同してもらった。1人1人が政治を変えられるという入り口に立ったんだと思う」と分析した。

落選し「44歳、無職…一応、党代表か?」と苦笑した。その上で「朝、起きて散歩と優雅なことは言えない。議員会館の事務所、6年住んだ議員会館を5日以内に退去…これが1番、憂鬱(ゆううつ)」と自嘲気味に笑った。

一方で、来る衆院選の出馬には、強い意欲を見せた。出馬する選挙区など、今後については「今からですね。(出馬の効果が)最大にできる形で選びたい。どこで出るか、戦い方は決まっていない」と語った。そして「議席を失ったので挑戦する。元々、旗揚げの理由として政権を取りにいきますと言った。そのために頑張ります。メンバーをそろえ、政権を取りに行く気迫で行きたい。次の衆院選で、政権にリーチできる戦いをしたい」と政権奪取を目標に掲げた。

山本氏は1時間、会見を行った後、開票センターに80人ほど残った支援者を前に訴えた。「議席を失ったけれど、悲観していない。前進した。自分が1議席、手に入れるものより大きいものを手に入れた。力不足で、皆さんを国会に送り込めなかったけれど、次につながる。候補者を10人、集めるのも大変だったけれど、既に有志がいる」。その上で衆院選に向け「衆院選は、すぐ来る…近づいている。まずは、ゆっくり休んで、ポスター貼りから始めませんか。世の中を変えるためにみんなの力を借りるしかない。この先には希望、夢しかない。力合わせて、もう1度やりましょう!!」と支援者に、さらなる共闘、“れいわムーブメント”の継続、強化を訴えた。【村上幸将】