「すべての子は天才」をうたい文句に、卒園までに全員が逆立ち歩き、5歳までに漢字の読み書きができる…などのスタイルで話題になったヨコミネ式幼児教育法が、再び注目されている。きっかけは昨年、女子フィギュアの紀平梨花(17)が、ヨコミネ式を取り入れた幼稚園に通っていたことが判明したからだ。ヨコミネ式幼児教育法とは、女子プロゴルファー横峯さくらの伯父横峯吉文氏が提唱。現在、北海道から沖縄まで全国約400の施設や学習塾に導入されている。子供の才能を開花させるために、読み、書き、計算、運動、音楽、英語などを指導。「子供が泣いてもかまわず、怒らず、自分たちで解決させる」を説く横峯氏は、昨年6月には、都内に直営のヨコミネキッズアカデミーを開園した。都会っ子の教育に燃えるその思いを聞いた。

 

-紀平さんが、ヨコミネ式教育法を受けていたんですね

横峯氏 そうなんです。昨年は彼女が優勝するたびに、会社のホームページにアクセスが増えました。彼女が卒園した兵庫県西宮市の幼稚園は、全国で最初にヨコミネ式を取り入れた8園のうちの1つでした。うれしいことです。

-紀平さんは、強い体幹、脚力など身体能力の高さが注目されています

横峯氏 やはり、幼稚園時代のことが役に立っていると思います。ヨコミネ式では「全ての子供たちが天才」が前提に、レベルを少しずつ上げていきます。いきなり逆立ち歩きをさせるわけでなく、補助をつけながら倒立させ、壁づたいに横に進むことから始めます。ただ、逆立ちは3歳(年少)の夏には6割の園児ができますね。年中の夏になれば、全員ができます。紀平さんに関しては、「頑張ること」を苦にしていない雰囲気が素晴らしい。努力を楽しんでいるし、悲愴(ひそう)感もない。

-運動神経は生まれつきなのでは

横峯氏 私はそうではないと確信しています。遺伝子は骨格、筋肉の質に出ますが、運動神経は幼い頃に回路ができ、脳の基礎は5~6歳までにつくられる。だからこそ、逆立ちをさせ、脳に酸素を送り込む。読み、書き、計算も並行してやっていくことで、いろんなことができるようになる。そうすれば、子供たちに意欲、やる気、行動力が出てくるのです。

-横峯さんは、鹿児島県志布志市を拠点に3つの保育園を経営されていますが、昨年6月、世田谷区に直営の小規模幼稚園ヨコミネキッズアカデミー桜新町校を開園されました。その狙いは

横峯氏 多くの方に「地方で自然も豊かだから子供が育つ」と思われているので、そうではないことを証明してみせます。そう、全ての子供は天才なのです。決して広くない室内で、30人の子供たちを対象に、それを実践しています。さくらのおいっ子、めいっ子も入っていますよ。今では「土曜日、日曜日でも休みたくない。アカデミーに行きたい」と言っています。

-今後、ヨコミネ式教育法を受けた子供たちから、紀平さんのようなスーパーアスリートは出てくると思いますか

横峯氏 たくさん出てくるはずです。既に鹿児島から、剣道、野球、レスリンングの全国大会出場者が出ていますし、最近では、白鵬杯に出て優勝した小学1年生がいます。幼少期から筋力、柔軟性、考える力を身につけているのですから、どの競技でも通用すると確信しています。期待しています。【取材・構成=柳田通斉】