韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の再側近で、娘の大学不正入試疑惑など数々のスキャンダルを抱える次期法相候補の曹国(チョグク)氏(54)が2日午後3時半から3日午前2時すぎにかけて、数回の休憩を挟みながら断続的に約11時間にわたる異例のロングラン会見を開き、「若い世代に失望と傷を与えた。国民に申し訳ない」と、一連の問題を謝罪した。

娘は、高校時代に大学医学部の研究所で2週間、インターンをしただけにもかかわらず研究論文の筆頭著者となり、この実績から名門・高麗大に入学したとされることが、不正入学疑惑として問題になっている。曹国氏は「今見れば、私が見てもいぶかしい点はある」としながらも「担当教授の裁量に委ねられていた」と、自身や家族の関与を否定。娘が、落第しながらも受け取っていたとされる奨学金の不正受給疑惑についても「もらっていることは知らなかった」と述べるなど、疑惑の核心部分はのらりくらりとかわし、疑惑が晴れることはなかった。

会見開始時には、会場に大勢の報道陣が詰めかけたが、未明には現場で取材する記者の数も激減する、“耐久戦”。会見冒頭「徹夜になっても、どんな質問でも答える」としていた曹国氏だったが、その頭脳明晰(めいせき)ぶりも文氏の信頼を得ており、記者の質問を巧みにかわし続けた。

会見で何を話すかというより、「会見で説明を尽くした」という既成事実をつくることが、今回の会見の目的だったとの見方も出ている。

むいてもむいても疑惑が出てくるということから「タマネギ男」と呼ばれている曹国氏。当初、2日は曹国氏が法相に適任かどうかを検証する国会の聴聞会が予定されていたが、家族を証人として呼ぶかどうかをめぐり与野党が対立し、開催が見送られた。すると曹国氏は「自ら国民に説明したい」と会見を開く意向を発表。発表から開始予定時間までの時間はわずかで、メディア側に周到な準備をさせる余裕も、与えなかった。

曹国氏は会見で法相就任に強い意欲を示したが、野党は3日、法相指名を辞退するよう求めた。ただ、会見で国民に説明したという既成事実をもって、文氏は7日にも、曹国氏を法相に「強行指名」する見通しだ。曹国氏の家族をめぐる不正の疑惑に関する捜査は続いており、今後も「チョグク・ゲート」を抱えた韓国政界は混乱しそうだ。