囲碁の女流棋士が、棋士の素顔や勝負師としての思い、現実を広く知ってもらおうと企画、制作した「女流棋士フォトブック」発行を記念した大感謝祭が26日、都内の日本棋院東京本院で開催された。

企画、取材、発行の中心的役割を果たした、星合志保二段(22)と木部夏生二段(22)は、この日、謝依旻(シェイ・イミン)六段(29)を交えたトークショーを行い、制作の経緯、裏話を語った。木部二段は「囲碁を知っていても、棋士を知らない人が多かった」と、棋士を知ってもらいたいという思いが発端だったと明かした。そして「18年12月に、企画から全て手作りでやろうという話になった。誰に相談しよう? ということになり謝先生に相談した」と企画立ち上げ時の状況を説明した。

星合二段は、司会に挑戦したの茂呂有紗初段から「大変だったことは?」と聞かれると「本を作る行程を知らず、知識がなかったので、本当に全てが初めてのことだったので大変だった」と答えた。同年代の藤沢里菜女流四冠(21)と木部二段を交えた対談は食事をしながら行ったが「インタビューでは、みんなの話し方を変えないようにした。でも、対談したけれど…普段通りの話だったので(対談の原稿としては)半分くらい使えなかった」と苦笑いした。

謝六段は「衣装も、こういう色の方がいいとか、志保ちゃんに聞いたりして、服とかも全部、自分で選んだ。志保ちゃんは大変だったと思う」と星合二段をねぎらった。また後輩の茂呂、辻華の両初段との対談企画の際は「夏生ちゃんがパソコンで打って全部まとめた。初めてのことだし、すごいと思う」と、対談を聞きながら、その場で聞いた話をパソコンで即打ちした、木部二段の処理能力の高さを絶賛した。

女流棋士フォトブックは発行にあたり、7月27日から8月31日の日程でクラウドファンディングを実施し、目標金額の150万円を大きく上回る438万5420円の支援金が集まった。10歳の仲邑菫初段の登場で注目される囲碁界だが、美しい女流棋士が多いことも話題になり始めており、人気の高まりを証明した格好だ。

9月に現物が完成し、クラウドファンディング出資者への発送を始めたが、その作業も星合、木部両二段を中心に棋士が行った。一方でクラウドファンディング出資者以外の間でも日々、評判が高まり、日本棋院の売店、囲碁サロンなど関係筋でも販売されるようになった。さらに通販サイトも11月15日に立ち上げ予定と、販売の輪が広がっている。

木部二段は、今後について「今までやったことがないことを、たくさんやることが出来たのが良い経験。これにとらわれず、経験を生かして、また新しい企画が出来たら」と語った。星合二段は「プロになる前はプロになること、プロになってからもタイトルや勉強だったりで、頭がいっぱいだった。地方に行ってお仕事して、いろいろなものを見て囲碁の普及に関心を持った。みんなで何かが出来た経験を生かし、いろいろな形につなげたい」と手応えを口にした。

女流棋士フォトブックには、星合、木部両二段、謝六段、藤沢女流四冠、茂呂、辻両初段のほか、万波奈穂四段、上野愛咲美女流棋聖、金子真季二段、稲葉かりん初段の10人の写真が掲載されている。【村上幸将】