個人情報や入札予定価格など非公開の重要情報を含んだ神奈川県の行政文書を保存したハードディスク(HD)計18個がインターネットオークションに出品され、落札されていたことが6日、分かった。 緊急会見した神奈川県によると、リース契約満了に伴い、リース会社(富士通リース)に返却したサーバーからデータ消去前のハードディスクが盗まれ、売られていた。

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神奈川県はサーバーを返却する際、富士通リースと「データ復旧が不可能とされている方法により消去作業を行う」とする契約を結んでいたが、どこが消去作業を行うか知らず、富士通リースから委託されていたブロードリンクの社名すら知らなかった。

また、県では返却時に初期化していたというが、落札した人物が復元ソフトを使ったところ、復元できた。ハードディスクの復元を手掛けるアイフォレンセ日本データ復旧研究所の下垣内太社長によると、「パソコンやハードディスクにいったん記録されたデータは『ごみ箱』から削除しても、基本ソフトで初期化しても、消滅することはない」という。データを完全に消すには磁気ディスクに穴を開けるなど物理的に破壊するしかないが、リース契約では不可能。神奈川県の“事件”は組織が管理している情報を安全に破棄する難しさを露呈させた。

内閣府は「桜を見る会」の招待者名簿について、復元は不可能と繰り返しているが、完全消滅は難しいことを示す実例といえる。