新型肺炎の感染拡大にタクシー業界も本格的な対策に乗り出した。業界最大手の日本交通は28日からタクシー、ハイヤー乗務員にマスク着用を義務付けた。車内空間が狭く、乗客が助手席に座ることもあり、「濃厚接触」のリスクがある。「お客様およびスタッフの健康と安全を考慮し、感染予防策の一環として当面の間、ハイヤー・タクシー乗務員は原則としてマスク着用での応対とさせていただきます」と公表した。

日本交通はタクシー約6279台、ハイヤー約1367台を所有し、乗務員は約1万人。乗務員が1日に1枚なら1万枚のマスクを消費、単純計算で1カ月間で約30万枚が必要だ。一般的な市販マスクはドラッグストアなどで1箱60枚入りの実勢価格は約598円(税抜き)。1カ月間では60枚入り5000箱で約299万円(税抜き)となる。「当面は確保していますが長期化が不安」と同社はマスク需要が高まり、入手困難の可能性を懸念した。

約1500人の乗務員が勤務する「日の丸交通」でも28日からマスク着用を義務化した。6人乗車と、9人乗車の観光タクシーで名所、買い物巡りに利用するのが訪日外国人客に人気だけに「濃厚接触」のリスクに対応した。東京都内の観光スポットを巡る「はとバス」では中国語で案内する2~3コースがあり、乗務員約150人と添乗員が各自の判断でマスクを着用する。日本バス協会は28日にマスク着用や手洗いなどの徹底を事業者に通達した。【大上悟】