将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(17)が10日、大阪市の関西将棋会館で指された第61期王位戦挑戦者決定リーグ戦白組4回戦で菅井竜也八段(27)を112手で破り、リーグ4連勝を飾った。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言を受け、対局室の出入り口などをすべて開放するなど、異例の態勢の中、藤井が初のタイトル挑戦権獲得に向け、あと2勝に迫った。

関西将棋会館5階「御上段(おんじょうだん)の間」。持ち時間各4時間。マスクを着用した藤井と菅井が熱戦を繰り広げた。「3密」を避けるため、1部屋で1対局。記録係もマスクをつけた。

終局後、藤井は「自信のない展開だった」と振り返った。通常とは異なる対局環境に「対局が行われる限りは、盤上に最善を尽くして戦おうと思っていました」と話した。

王位リーグは白組と紅組に分かれ、各組6人総当たり。白組で成績最上位者となれば、紅組成績最上位者との挑戦者決定戦を行う。ここまで藤井と菅井はそれぞれ3勝0敗。全勝対決の大一番だった。4戦全勝で首位に立ち、白組優勝に大きく近づいた。

日本将棋連盟は緊急事態宣言を受け、公式戦のうち長距離移動(100キロ以上)を伴う対局は原則、5月7日以降に延期。愛知県瀬戸市在住の藤井は、関西将棋会館、東京の将棋会館での対局は長距離移動になるため、4月11日以降の対局はすべて延期となった。

藤井が対戦予定だった棋聖戦挑戦者決定トーナメント準決勝も延期になった。藤井が屋敷伸之九段の持つ最年少タイトル挑戦記録(17歳10カ月)を更新するにはラストチャンスとなる棋聖戦だが、影響を受ける可能性もある。

世界、日本、将棋界も含めた難局が続くが「いろいろと大変なことがある。プレーヤーとしては次の対局でいい将棋を指せるように努力したい」と力強く話した。