新型コロナウイルスに感染し入院中の女性患者が18日、SNSと電話を通じた取材に応じた。

女性は関東地方のキャバクラの従業員で3月下旬に発症。入院から1週間で退院できる見通しだったが、退院に向けた2回目のPCR検査後に、容体が悪化。背中に「ズキズキ突き刺さるような痛みを感じ、呼吸が苦しくなった」といい、今も入院が続いている。女性は「感染するまでは私自身、危機感がなかった」と語る。感染者が日々増え続ける中で、より強い警戒を呼び掛けた。

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女性は、3月下旬にせきや節々の痛みが出始め「熱は38度くらいで、インフルエンザだと思った」。病院に行ったが、風邪と診断され、薬を出されただけだった。その時すでに「味覚と嗅覚が無かった」と話すが「自分がコロナになるという考えはなかった」。

薬で熱が下がったため、試しに味が濃いであろう激辛ラーメンを食べてみた。「味がしなかった。でも、辛いからか、のどが痛いという感覚だけはあった」。

4月上旬。発熱が4日間続いた。職場の近くで陽性者が出たとも聞き、保健所に電話した。病院で検査を受けるよう言われ、自転車で病院へ。「2つの鼻の穴でインフルとコロナのPCR検査を受けた。血液検査とエックス検査を受けた」。

インフルエンザは陰性。翌日、新型コロナウイルスの陽性が確認され、入院した。勤務先に陽性の連絡を入れると「保健所にこの店で働いていると言うな。営業できなくなって、つぶれる。無職と伝えて」と言われたという。

入院後、数日は発熱が続いたが、4日目には平熱に戻り「すぐ帰れるじゃんと思った」。2回陰性が出なければいけない退院に向けたPCR検査。1回目は陰性だった。2回目の検査を受け、荷物の片付けを始めた夜、「背中の右側が痛くなった」。容体は悪化し、痛みは増していった。

2回目の検査は陽性。CT検査では「白い固まりを見た」。新たな肺炎像だった。痛みは1週間以上続き「寝返りも打てない。直接触っても痛くないのに、背中をベッドにくっつけられない。ズキズキと突き刺さる痛みだった」。

死の危険も感じた。「痛みと恐怖で息が浅くなっていた。このまま一気に悪化したらどうしよう」と不安が襲った。体力低下を防ぐため「食欲が無くても無理やり食べるようにはしていた」と話す。

今は症状が落ち着いているが「2回連続で陰性が確認されないとダメなので、先が見えない」。簡単には帰れないことを実感している。自分でも感染前は危機感がなかった。今は「自分はならない、大丈夫だとは思わないでほしい。外出を自粛してほしい」と呼びかけた。【佐藤勝亮】