歌舞伎座の向かいに店を構える東京・東銀座の老舗弁当店「木挽町辨松(こびきちょうべんまつ)」が20日、152年続いたのれんを下ろした。開店時に整理券を配布し、混雑は緩和したが、客足は途絶えず、計500個用意した弁当と総菜は午後2時に完売した。

10年前から弁当を買い続けてきたという東京都小金井市の公務員女性(50)は「懐石弁当が好きで歌舞伎の幕あいに食べていました。お赤飯も柔らかくておいしかった。本当に残念でならない。こういう結果になってしまって、コロナめ、と憤りを感じています」と、悲しそうな表情を見せた。

5代目社長の猪飼信夫さん(67)によると、常連やファンから電話が鳴りっぱなしだったという。「ある方は泣いて泣いて。『お弁当が楽しみだったので、歌舞伎座に行った時はどうしたらいいの』と。言葉が出なくなってしまいました。『感謝しています。お元気で』といった言葉を掛けてもらいました。感激しています」と感謝した。