静岡県沼津市のホテル沼津キャッスル(三輪俊城社長)が先月末で廃業し、38年の歴史に幕を閉じた。同ホテルは、1983年(昭58)に同市初のシティーホテルとして開業。87室の客室に加え、結婚式場や宴会場、レストランなどを完備した。関係者によると、近年は晩婚化や結婚の多様化でブライダル事業が伸び悩んだ。さらに新型コロナウイルスの影響で宿泊予約のキャンセルが相次いだことも追い打ちをかけ、廃業が決まった。西原由晴支配人(65)は「さらに不安が大きくなる前に(社長は)決断されたのだと思う」と話した。

沼津市が舞台の人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」とコラボした「沼津まちあるき缶バッジ」をホテルロビーで販売。作品ファンが訪れ、先月25日時点で残っていた約100個の在庫も完売した。

94年には天皇、皇后両陛下(現在の上皇ご夫妻)が静岡県を視察された際、昼食でホテルを訪問。当時は営業部長だった西原氏は「恐れ多く、顔も上げられませんでした」と振り返った。「地域に支えられ、たくさんのお客さまに利用していただきました。言葉では表せないほどの感謝の気持ちでいっぱいです」と頭を下げた。【古地真隆】