新型コロナウイルスの感染拡大により外出自粛が続く中、町中では食事配達サービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」の配達員の姿が多く見られる。

一方で、先月都内では配達員の大学生が車と接触し、死亡する事故が発生。1月~3月の事故件数は全国で約30件に上る。12日には、ロゴ入り配達バッグを背負った人物が首都高速を自転車で走行する騒動があった。配達員の実情を聞いた。

配達員として2年半働いている20代男性は「配達バッグはよく転売されているから(首都高速を走行した人物が)配達員かはわからない」とした上で「配達員はお店と客から評価され、評価によって受けられる仕事が変わる。早く、多くの配達をクリアして評価を上げたかったのでは」と分析した。一定の配達数をクリアすると、ボーナス金がもらえることもあるという。

コロナ禍の宅配サービスで注目される一方で「都心の狭いファストフード店では、お持ち帰りの一般客に加えて、配達員が10人以上いて3密の状態になる」と不安を漏らす配達員もいた。

転職活動中に配達員になった30代男性は「33日連続で働いています。平均して1日25件前後配達し、月36万くらい稼げた」。安全面には「危ない現場をよく見る。走行禁止の場所に侵入し、警察に捕まっている人を見た」と明かした。転職が決まり、ウーバーイーツは辞めるが「人間関係がないから楽だった」と魅力を語り「あっ! 注文入ったんで」と大忙しでペダルを踏み込んだ。【佐藤勝亮】

◆「Uber Eats(ウーバーイーツ)」 米配車大手ウーバー・テクノロジーズが日本で展開する食事宅配サービス。利用者が専用アプリを使い、飲食店などに食事や商品を注文し、配達員が店で受け取り、自転車やバイクで指定場所に届ける仕組み。配達員は配送料を受け取ることができる。利用可能店は2月中旬から約1カ月で、約3000店増え、3月末で約2万店。