大阪府は14日、府庁で新型コロナ対策会議を開き、特措法に基づく休業要請の段階的な解除を正式に決めた。会議では解除の対象となった劇場をめぐり、激論が交わされた。

大阪国際会議場(グランキューブ大阪)を管轄する大阪府の文化部長が「これではビジネスとして成り立たない」と声を荒らげた。大阪府は業種別の感染防止対策マニュアルを発表し、対策の順守を休業解除の条件としている。

劇場などに関するマニュアルでは「混雑時の入場制限」、「十分な座席の間隔(できるだけ2メートルを目安に最小1メートル)が確保されること。例えば四方を空けた座席配置又は使用する座席の2分の1以下とする措置を行うこと」。

この座席のマニュアルを当てはめると、文化部長によると「2メートルの間隔で1人座ったら、4人分を空けなければいけない。グランキューブ大阪で試算すると約2800席あるが、388席しか座れない。全体の14%です」と明かした。

さらに吉本興業の本拠地、大阪・なんばグランド花月(大阪市中央区)についても試算したといい「約858席のうちの128席。約15%です」と話した。

「これでは営業してくださいではなく、閉めてくださいと言ったほうがいい。物理的にできてもまったく採算がとれない。ビジネスとして成り立たない」と詰め寄った。

大阪府内の劇場に解除のGOサインが出たが、大阪の独自の劇場版「ソーシャルディスタンス」の問題が浮き彫りになった。