将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(17)が16日、大阪市の関西将棋会館で指された第91期棋聖戦5番勝負の第4局で渡辺明棋聖(36)に挑み、史上最年少で初タイトルを獲得した。

17歳11カ月での初タイトル獲得は、90年に屋敷伸之九段(48)が作った18歳6カ月のタイトル獲得最年少記録を30年ぶりに更新した。将棋界で高校生のタイトル獲得は史上初。前例のない快挙に日本中の将棋ファンが沸き立った。

★誕生 2002年(平14)7月19日、愛知県瀬戸市生まれ。会社員の父、母、4歳年上の兄と4人家族。

★将棋との出会い 幼稚園年中の5歳の夏、祖母がスタディ将棋を買い与え、祖母と一緒に将棋を始める。将棋を指せた祖父と対局。祖父も勝てなくなり、5歳の冬に「ふみもと子供将棋教室」(愛知県瀬戸市)へ通う。

★驚異の上達力 同教室には週に3回、1日3時間将棋を学んだ。20級から始まった級は1年間で4級へ昇級。同教室では1年間で16級昇級する教室記録を樹立。将棋の基礎となる「定跡本」(約480ページ)はたった1年間でマスター。

★号泣 小学1年の3月、アマ初段で東海研修会に入会。小学3年のアマ四段のとき、小学生名人戦の愛知県予選大会に出場。決勝で敗れて号泣。

★弟子入り 小学4年で杉本昌隆八段に弟子入り。プロ養成機関「奨励会」に6級入会。

★史上最年少 13歳2カ月で三段昇段。16年10月、14歳2カ月でプロ入り。加藤一二三・九段が持っていた14歳7カ月を62年ぶりに塗り替えた。16年ぶり5人目の中学生棋士。

★前人未到の29連勝 17年4月、デビュー以来の連勝記録「11」を樹立。同6月には、プロ初戦からに限らない連勝の歴代最多記録「29」を達成。30年ぶりの新記録だった。

★異例のスピード出世 18年2月には、順位戦C級2組で昇級を確定させ、五段昇段。さらに同月の朝日杯将棋オープン戦で優勝(15歳6カ月の棋戦優勝は最年少記録)。六段に昇段。同年5月には竜王戦5組ランキング戦準決勝に勝ち、同4組に昇級。史上最年少の15歳9カ月、プロ入り後最速の1年7カ月で七段に昇段した。

★史上最年少でタイトル戦挑戦者 6月8日に行われた第91期棋聖戦5番勝負の第1局、この時点で17歳10カ月20日の藤井は屋敷伸之九段(48)が保持していたタイトル挑戦最年少記録を4日更新。

★史上最年少2冠へ 2つ目のタイトル挑戦となる第61期王位戦7番勝負では木村一基王位(47)に連勝。棋聖に続き「王位」も狙う。