渡辺明王将(名人・棋王=36)への挑戦権を争う、将棋の第70期王将戦挑戦者決定リーグが22日、開幕した。午前10時から東京・千駄ケ谷「将棋会館」では注目カード、藤井聡太2冠(18)対羽生善治九段(49)戦は、羽生が接戦をモノにした。4戦4勝と羽生に負けなしだった藤井が、初めて黒星を喫した。

4戦4勝と羽生に負けなしだった藤井が、初めて黒星を喫した。終局直前、羽生の決め手後手2四金を見ると、グラスのお茶を飲み干して投了した。57手までで持ち時間4時間のうち、残り7分(後手の羽生は残り1時間16分)。時間を先に消費し、徐々にリードを許した。2枚の角を5六と6六に置き、9筋から仕掛けた。「不発になって形勢を損ねた。こちらの角が働かなかった」と、悔しさをかみしめる。

昨年のこのリーグ、今年の王位戦挑決リーグはいずれも白星発進だった。今回初めて黒星スタートとなった。約2カ月の短期決戦で前半に星を落とすと厳しい。7人総当たりのメンバーは藤井、羽生のほか、前竜王の広瀬章人八段、21日に叡王を獲得した豊島将之2冠(竜王・叡王)、永瀬拓矢王座、前王位の木村一基九段、元名人の佐藤天彦九段。新旧タイトルホルダーがそろう。

10月5日のリーグ2戦目は、過去5戦5敗の豊島。今月12日の「将棋日本シリーズJTプロ公式戦」でも苦杯をなめた。8月20日の2冠達成後、初めて敗れた。挑戦権を得るためには、ここが前半のヤマ場になる。「厳しいスタートになりましたが、いい状態で次の対局に臨みたい」と、気持ちを切り替えていた。