仙台育英(宮城)の書道部が、「書の甲子園」と呼ばれる国際高校生選抜書展で3度目の全国団体準優勝に輝いた。東北地区で6年連続11度目の頂点に立ち、各地区優勝校による全国審査に進出。東北勢初の優勝に輝いた18年度以来2度目の全国制覇こそ小差で逃したが、個人で菊地智子さんと高橋歩未さんが準大賞、岡茜里さん(いずれも3年)が優秀賞に輝くなど入賞3点、入選12点で創部30周年の節目を飾った。

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仙台育英が本年度も世界レベルの「筆力」を描いた。日本を含む6カ国・地域から計1万2171点の応募があり、仙台育英は部員27人で応募上限の計50点を出品し、全国準Vにつなげた。応募作品はすべて縦135センチ、横70センチの全紙。菊地さんは「呉昌碩(ごしょうせき)」の篆刻(てんこく)で昨年度の入賞を上回る準大賞に輝いた。「彫り深めたくて」と1年時から取り組んできた作品。四角形ばかりでなく楕円(だえん)やひょうたん形など大小100個の印をバランスよく彫り上げた。菊地さんは「3年間やってきた良かった」と高校生活の集大成にした。

「創作の部・かな」でも高橋さんが準大賞。「山家心中集」を題材にして昨年度の入賞を超えた。「リズム感や立体感が出るように」と線の美しさだけでなく、墨の濃淡にもこだわった。高橋さんは「今の力は出せました。(全国準優勝の)力になれてうれしい」と胸を張った。

夏まで部全体を引っ張ってきた前部長の岡さんも「石臺孝経」(臨書の部・漢字)で1年時の入賞、2年時の秀作賞に続く優秀賞を手にした。同じ題材で華やかさを意識した昨年から一転。書の基本の白黒で勝負した。「文字(黒)が目立つように」と松のすすを加えた艶なしの墨を選択。下地和紙の色合いにもこだわった。より上位を目指していた岡さんは「ちょっと悔しいけど、準優勝は誇りに思うし、ホッとしました」と肩の荷を下ろした。

同校OBで就任19年目の渡辺章紀顧問(47)は在学2年時に書道部を立ち上げた。後輩でもある教え子たちは全国連覇を逃した昨年度の悔しさを胸に、全力を出し切った。「初心に戻って根本を見直せた。コロナ禍の不安の中で(1年時に)全国優勝メンバーだった3年生たちが意地を見せてくれた。みんな最後の紙。これ以上のことはできなかった」とたたえた。同展は来年2月17日から大阪市立美術館で開催予定。部員たちは来春、創部30周年記念展も計画している。【佐々木雄高】