東京都千代田区の石川雅己区長(79)は9日までに、2月7日の任期満了をもって退任する意向を、区のホームページで発表した。

石川氏をめぐっては、区内のマンション購入をめぐって販売元から優遇措置を受けた疑惑が指摘され、一時、議会との間で大混乱を招いた。同区では今月24日告示、31日投開票で区長選が控えており、石川氏の対応に注目が集まっていた。

通常なら退任の会見が開かれるが、石川氏は、都内で新型コロナウイルス感染が拡大していることを挙げ「区民の皆さまに直接お会いすることが事実上困難」とした上で、書面によるあいさつとなると主張。「今、アフターコロナの時代に合わせた新しい暮らし方や働き方が求められています」とした上で「その意味で、これからの区政の舵取りを次の世代に委ねていくことが正しい判断であると決断しました」としている、マンション問題に伴う混乱には触れていない。

石川氏は2001年に初当選し現在5期目。前回17年2月の区長選は、小池百合子都知事と都議会自民党の「代理戦争」となる中、小池氏の全面的な応援を受けた石川氏が圧勝した。

マンション問題は昨年3月、区議会が調査を決定。7月に区議会が石川氏の刑事告発を決めると、石川氏は対抗措置として議会の解散を宣言した。区選挙管理委員会は解散を認めず、東京地裁も解散処分の執行停止を認めた。

区議会は昨年11月、地方自治法100条に基づく委員会の調査で、区長側が販売元から優遇措置を受けたと結論付けた。