小説「心淋(うらさび)し川」で直木賞を受賞した西條奈加氏(56)の生まれ故郷、北海道池田町は20日、故郷の作家の快挙に沸いた。西條氏と帯広三条高時代に同学年だった安井美裕町長(56)は「候補者の中でも有力だと話を伺っており、期待をしていたが驚きもあった。我々も誇り」と喜びを語った。

また候補段階から受賞した際に備えて、喜びのメッセージを付けた十勝産のワインを贈呈する計画を検討しており、同町長は「すぐにワインをお届けしたいと思っている。私どもは国内で初めて本格的な方式でスパークリングワインをつくっている。お祝いで飲んでいただきたい」と話した。また同町内で唯一の書店「さくら書房」のオーナー片山喜博さん(36)は「すごいなあというのが率直なところです」。今後は過去の作品をそろえるなど特設コーナーを設ける予定だ。

64年に池田町に生まれた西條氏は帯広三条高卒業後に一般企業就職などを経て、05年に「金春屋ゴメス」で「日本ファンタジーノベル大賞」を受賞しデビュー。15年には「まるまるの毬」で吉川英治文学新人賞を受賞した実力派。今作で初の候補入りし、第164回直木賞を射止めた。