第164回芥川賞・直木賞の選考会が20日、都内で開かれ、芥川賞に宇佐見りんさん(21)の「推し、燃ゆ」が選ばれた。

宇佐見さんは現役大学2年生。21歳8カ月での受賞は、03年下期に受賞した綿矢りさ氏(当時19歳11カ月)、金原ひとみ氏(当時20歳5カ月)に次ぐ史上3番目の若さとなる。

知らせを受けた宇佐見さんは「胸がいっぱいで、頭が追いついていない。とてもうれしいです」と笑顔。21歳での受賞には「もっと長い目でというか、まさか21歳で。信じられない気持ちです」と喜びを語った。

アイドルを“推す”ファンを描いた同作では、推しの対象を「背骨」と表現する。自身にとっても書くことは「背骨」といい、「大げさではなく、これがあるからやっていける感覚は前からあった。それはこれからも変わらないので、全力で書いていきたいと思います」。

選考委員の島田雅彦氏は「文学的偏差値の高い作品。若い才能を評価しようという雰囲気が支配的だった」と語った。島田氏の「言葉が吟味されていた」との講評には「自分は時間をかけて書くタイプ。文章に対して最適解を探すことは、楽しくて苦しくもある。『吟味している』と言うのは自分では恥ずかしいけれど、うれしく思います」と照れ笑いを浮かべた。

昨年は小説「かか」で三島由紀夫賞を史上最年少受賞。現在は次作を執筆中で「うれしいなと舞い上がる気持ちもあるけれど、今は3作目に注力すること。悪い意味で振り回されることなくいきたい」と語った。