今年7月の東京都議選の前哨戦で、小池百合子都知事と自民党都連の「代理戦争」となった東京都千代田区長選は31日、投開票され、小池氏が特別顧問を務める都民ファーストの会推薦の元都議、樋口高顕(たかあき)氏(38)が、自民推薦の早尾恭一氏(59)ら3人を破り、初当選した。樋口氏は小池氏の超側近。ほぼ連日応援に入った小池氏は、オンラインで「新しい区長をしっかり応援していきたい」と激励した。

小池氏支援で現職の石川雅己氏が自民候補に圧勝した前回同様、小池VS自民の戦いも、全面対決だった前回と対照的に、今回の構図や人間関係は複雑だった。

石川氏はマンション購入をめぐる優遇措置問題を抱え、今期限りの退任を表明。区議会の百条委員会委員長として石川氏を追及したのが早尾氏で、昨年11月に出馬表明したが、推薦した自民は必ずしも一枚岩ではなかったとされる。それを象徴するのが、千代田区が地盤で都議引退後も影響力を保つ都議会自民のドン内田茂氏の動き。内田氏は今回、早尾氏と距離を置いたとされ、告示日の出陣式にも現れなかった。形を変えた樋口氏支援との見方も浮上、小池氏との「密約」説まで取りざたされた。自民にとっては菅内閣の支持率急落、与党議員の緊急事態宣言下での銀座クラブ通い批判の中、手痛い敗北だ。