ともに「原発ゼロ」を訴える小泉純一郎(79)、菅直人(74)の元首相コンビが、異例のタッグを組んだ。1日、東京・有楽町の日本外国特派員協会でそろって会見し、東京電力福島第1原発事故を経てもなお続く現在の日本の原発政策に疑問を示し、原発に依存しない国づくりを進めるようあらためて訴えた。小泉氏は現在の原発政策をめぐる政府や推進企業側の動きに、「不思議だ」のフレーズを連発した。

小泉政権時代には菅氏が当時の民主党代表として小泉氏と党首討論で激突したこともある。そんな因縁もある2人だが、小泉氏は「原発の問題に与党も野党も、右も左もない。原発を何とかしたいという思いはいっしょ。全国民の関心事だからこそ政党の枠を超えて、将来日本が原発ゼロでやっていけるような国づくりにまい進したいという思いでやってきた」と述べた。 菅氏によると「このような形でいっしょに小泉さんと討論に参加するのは初めて」という。

両氏とも原発に反対する理由の1つに、核廃棄物の処理場を確保できていないことを挙げた。小泉氏は「処分場もないのに、なぜ政府は認めているのか理解できない。産業廃棄物を扱う会社は、処理場を確保しない限り会社はできない」と指摘し、菅氏も「廃棄物の問題を解決できていない中で、わざわざ原発に戻ることはないと思っている」と強調した。

フランスメディアの記者から、福島第1原発事故を受けてもなお、なぜ日本国民の全体が原発政策に反対しないのかと問われた小泉氏は「私もそう思っている」と即答し「ドイツは福島の事故を見て、ゼロに踏み切った。日本は目の当たりにしながらそうならない。不思議でしかない」と述べた。