東京都から時短営業の命令を受けた飲食店が都を訴えた。居酒屋「権八」や「モンスーンカフェ」を展開している飲食チェーン「グローバルダイニング」が22日、都の新型コロナウイルス対応の改正特別措置法に基づく命令は違法、違憲だとして、損害賠償を求めて計104円を請求し、東京地裁に提訴した。

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損害賠償の請求額は、命令を受けた、26店舗×4日間×1円の計104円。代理人の倉持麟太郎弁護士によると、損害賠償の請求が目的ではないとして「コロナ禍で露呈された法の支配、民主主義の脆弱(ぜいじゃく)さを問う訴訟にする」と語った。都の時短命令は「法的根拠、科学的根拠があいまい」と述べ、「飲食店の営業を一律に制限することの是非や、コロナ禍の過剰規制、改正特措法の違憲性を問題提起したい」と提訴の理由を説明した。

都は18日に「午後8時以降に営業を行い、さらにWEB上で発信していることが、来店を促し、市中感染のリスクを高めている」との理由で、同社に命令を発出していた。18日に命令を発出した27店舗の内、26店舗がグローバルダイニング経営の店だった。倉持氏は「2000以上あった時短要請を無視している店から狙い撃ちしている」とし、「法の下の平等、表現の自由、営業の自由を侵害している」と主張した。

特措法は「正当な理由」がある場合、命令を出せないと定めており、グローバルダイニング側は「要請に従っては会社を維持することが難しいという理由があり、命令は違法」としている。長谷川耕造社長(71)は「納得がいかないことに『うん』とは言えない」と語り、「コロナに対する政策で、苦しみを味わってきた。営業を短縮しないことによって、お客様に被害を加えることはないと確信していた」と話した。長谷川氏によると、緊急事態宣言中に20~30代の若者客が増え、2月の売り上げが創業以来初の黒字になったという。【沢田直人】