将棋の最年少2冠、藤井聡太王位・棋聖(18)が2020年度最後の対局を白星で飾った。23日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた第34期竜王戦予選2組準決勝で松尾歩八段(40)を下した。この勝利で、1組昇級を決めるとともに、豊島将之竜王(30)への挑戦権獲得を目指す決勝トーナメント進出を果たした。

デビュー1年目の2017年、第30期に最下級の6組からスタートして優勝した藤井は、18年の第31期5組、19年第32期4組、20年第33期3組と史上初の4期連続優勝でクラスを上げてきた。しかも、各組予選はここまで負けなしの23連勝とした。

竜王戦で最短の5年でストレート昇級の例は、1~5期の佐藤康光九段、8~12期の鈴木大介九段、15~19期の橋本崇載八段、21~25期の佐藤天彦九段(段位はいずれも現在)の4人しかいない。藤井が5例目だ。ただし、各組連続優勝での昇級例はない。24日に行われるもう一方の準決勝、渡辺明名人(棋王・王将=36)対八代弥七段(27)戦の勝者との対局で、史上初の快挙に挑戦する。

また、この日の勝利で本年度44勝8敗、勝率8割4分6厘となり、勝数も勝率もトップ。現在17連勝中でもあり、記録部門での3冠が確定した。タイトルも2つ獲得と、結果を残して20年度を終えた。

3月10日に終了した順位戦B級2組は、10戦全勝で終了。来年度はB級1組に昇級する。夏場には棋聖戦、王位戦と連続して防衛戦が控えている。今年1月末に高校を自主退学し、将棋に専念する覚悟も決めた。新年度、さらなる高みを目指して精進していく。