新宿の線路沿い「思い出横丁」から歩いて2分のビル6階にあった日本将棋連盟直営の新宿将棋センターが3月31日、約50年の歴史に幕を下ろし閉館した。

この日は将棋を愛するファンがひっきりなしに駆け付けた。事務関係者は「今回は1週間前にすべての取材はしていただいて、ファンに純粋に将棋を楽しんでもらう環境を整えました。みなさん落ち着いて指していただきました」と語った。

通常は午前10時から12時間営業だが、この日は午後8時に静かにドアを閉じ、営業を終了した。日本将棋連盟の直営道場で、将棋の普及に必要な施設ではあるが、新型コロナウイルスのまん延などもあり、管理維持は難しい状況だった。

毎月数度の教室で訪れていたプロ棋士の瀬川晶司六段(51)は「このような町道場が閉館してしまうのは本当にさみしい。各地の道場もだんだん閉じていっている。今後は将棋単体ではなく、ゲームカフェのような形で、遊べるゲームのひとつに将棋もあるというスタイルになるのかもしれませんね」と話し、「新宿のような味のある道場は残ってほしかった」と絞り出すようにつぶやいていた。【寺沢卓】