任天堂の米国法人ニンテンドー・オブ・アメリカが16日、Nintendo Switchのハッキングデバイスを開発・販売していたハッキング組織「Team Xecuter」のリーダーと目されるゲイリー・バウザー被告を著作権侵害で訴えたとゲーム関連のニュースサイトPolygonが報じた。

報道によると、バウザー被告はチームの別のメンバーと共に昨年、任天堂の端末をハッキングするためのツールを販売した容疑などで逮捕され、11件の重罪で起訴されているという。今回新たにシアトルの裁判所に提起した訴訟では、同被告がセキュリティー対策を回避できるよう設計されたハッキング済みのNintendo Switchを販売し、購入者が海賊版ソフトでプレーできるようにしたことで任天堂の著作権を侵害したと主張しているという。

任天堂側は、ブラウザー被告に対して事業閉鎖と販売されたデバイス1台につき2500ドル、著作権侵害ごとに15万ドルの損害賠償を求めている。

訴状では、被告は少なくとも2013年からニンテンドー3Dのハッキングデバイスを開発し、販売していると訴えている。任天堂は今回の訴訟は「深刻で悪化する国際的な問題」を阻止する計画の一部であると説明しており、「7900万台以上のNintendo SwitchとNintendo Switch Liteを海賊行為の危険にさらし続けている」と弁護士はコメントしている。

同被告はカナダ出身で、ドミニカ共和国で逮捕されており、有罪が確定した場合は振り込み詐欺やマネーロンダリングなどの罪で5年から20年の禁錮刑になる可能性があるという。

世界で最も悪名高いビデオゲームの海賊集団の1つとして知られるTeam Xecuterのリーダーの名前が、偶然にもスーパーマリオでおなじみのキャラクター「クッパ」の英語名であることから、「大魔王クッパと混同しないように」と注意書きするメディアもあり、「任天堂がクッパを訴えた」と話題になっている。

任天堂は2018年に違法ROM配信サイトを訴えているほか、昨年もフォロワー190万人の人気TikTokインフルエンサーがポケモンにインスパイアされた自身の名前を商標登録しようとした際に自社の著作権を侵害したとして、名前の変更とポケモンをフューチャーした商品の売上金の全額払い戻しを求める訴訟を起こしている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)