茨城県の大井川和彦知事は12日の会見で、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会から、選手や関係者が新型コロナウイルスに感染した場合に受け入れる専用病床の確保を求められたが、断ったことを明らかにした。選手らも現行のコロナ対応の枠組みの中で対応していくという。

大井川氏は「(組織委から)五輪選手用の専用病床を用意してくれとの打診があった」とし「県民と五輪選手を分け隔てする必要性も感じていないので、お断りしている」と説明。仮に県民か五輪選手か選択を迫られるような状況になった場合に触れ「五輪選手を優先するのは認められない」とも述べた。その上で現行の枠組みの中で陽性の選手らも対応していく考えを示した。県によると、組織委から4月下旬に「選手と関係者が陽性になった場合の受け入れ病院を指定したい」などと要望があり、今月に入り、断ったという。

大井川氏は五輪開催についても「必ずやらなければいけないことではない。状況に応じ中止の判断もあり得る」「仮に医療崩壊の状況で五輪だけを開催すれば、日本だけでなく世界にも理解を得られないのではないか。そういう状況の場合は再延期か中止かを選択肢の1つとして検討すべき」と指摘した。同県にはサッカー会場の1つがある。

五輪のコロナ対応をめぐっては、神奈川県の黒岩祐治知事も11日の会見で、選手らに対しても県民同様、現行の医療提供体制「神奈川モデル」の中で対応していく考えを示した。組織委は都内外で指定病院を約30カ所確保する計画という。