大阪府の吉村洋文知事(45)は13日、大阪府庁で取材に応じ、茨城県城里町の上遠野修町長(42)が4月下旬、町内の高齢者に先駆け、新型コロナウイルスのワクチンを接種していたことなどの「優先接種」について言及した。

町長の「優先接種」について「問題だと思う」と指摘し、「ワクチンはみんなが求めているもので限られた数の中で、医療従事者の方、高齢者の方とルールを作ってやっている。そのルールを逸脱するようなワクチンの接種はあってはならない」と述べた。

「とりわけ、権力を活用したような優先順番の変更のようなことはあってはならない。ワクチンの数が限られていて、全員に行き届かない中では、ルールの中でやっていく必要があると思う」と強調した。

また愛知県西尾市の副市長が健康福祉部長と相談し、薬局大手スギ薬局を経営するスギホールディングス会長夫妻の予約を優先的に確保していたことについて「役所の権限を使った不公正な取り扱いなので、絶対にあってはならない」と述べた。

市長、町長の行政トップの「優先接種」について「首長だから早くというのは違うんじゃないかなと思う。ワクチンが不足している中では首長もルールの中で接種することが重要だと思う」とした。

一方で「危機管理の総責任者で(首長の接種が)必要というのであれば、事前に市民に説明しなければいけない。説明した後に打つのであれば、いいと思う。そこを隠すのは権力を使った“不正”のように思う」と非難した。

かつて吉村知事はワクチンの安全性面の議論があった際には、ワクチン接種を広げるために、自らが「優先接種」してもいいと声を上げたこともあったが、「いまは国民のみなさんが打ちたいと思っている」として「僕自身が優先して打つことはないです」と話した。