現役最強ともいわれる渡辺明名人(棋王・王将=37)が6日、千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」で行われた第92期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第1局で、最年少タイトルホルダー、藤井聡太棋聖(王位=18)に90手で敗れた。

前期、渡辺は藤井にタイトルを奪われ、今シリーズは立場が入れ替わった。渡辺はタイトル奪還と自身初の4冠を目指す。

戦型は相掛かりから激しい展開になった。終局後、戦略家として知られる渡辺は「作戦は予定で、途中までやっていました。(想定から外れたのは)午後に入ってから。長考したところで間違えた」と振り返った。

さらに約1時間20分の長考の場面について「先のことと若干、別の手を考えたが、時間を使った割にはいい手が指せなかった」と悔しさをにじませ、「まずい変化になって、一気に流れが変わったのが残念」と話した。

昨年7月、渡辺は藤井の棋聖のタイトルを奪われたが、その後の名人を獲得。王将、棋王、名人と今年の目標だった「3冠防衛」を果たした。

今シリーズは好調を維持し、最強の挑戦者として臨んできた。第2局は18日、兵庫県洲本市で行われる。渡辺は「もうちょっといい内容の将棋を指さないといけないなと思います」と気持ちを切り替えた。