埼玉県警は10日、商業施設内のトイレからトイレットペーパーを盗んだとして、窃盗容疑で、前深谷署長の元警視の男性（60）を書類送検した。

埼玉県警は今月3日に、商業施設内のトイレからトイレットペーパーを盗んだとして、減給1カ月の懲戒処分としていた。前署長は容疑を認め、辞職願を提出し、3日付で依願退職していた。

県警によると、前署長は休みだった5月29日、家族が外出して不在だった鴻巣市の自宅で缶チューハイや焼酎の水割りなどを1人で飲酒。日が暮れてから官舎のある深谷市に戻るため外出した。

途中のコンビニで缶チューハイを買い、コンビニの駐車場でひとりで立ち飲み。その後、JR鴻巣駅前の商業施設に立ち寄った。その際、事前に用意した紙袋にトイレで盗んだトイレットペーパー5個を詰め込み、そのまま立ち去ろうとしたという。

この商業施設ではトイレットペーパーの側面に施設名のスタンプを押していた。トイレ個室から出てきた際、すれ違った男性客が前署長の持つ紙袋からスタンプの押してあるトイレットペーパーを見つけ、施設の警備員に連絡。施設側が110番通報した。

官舎のトイレからは同じスタンプ入りのトイレットペーパーが13個見つかった。商業施設の広報担当は「盗難されないように各個室に予備は1個しか置いていない。一気に5個はとれないから複数の個室を回って集めたとしか思えない」と話した。

前署長は県警の任意の聴取に「急な便意を催しやすく、酒にも酔っており、電車で官舎に戻るまで不安だったため持ち出した」と供述していた。トイレットペーパーは1個34円で、この日の5個（170円相当）と官舎の13個（442円相当）で少なくとも計18個（計612円相当）が見つかった。