プシュ! 瓶ビールの栓が抜かれた。斜めになったグラスに黄金色の液体が注がれ白い泡がふんわりとふたをした。「生ビールもいいけど、キンキンに冷えたラガーも味わい深いね。あー、この一杯を待っていた。マスク、とってもいいよね」と乾杯直前までマスクをつけていた男性がマスクをあごまでずりさげてビールを飲み干した。

東京・築地の居酒屋「多け乃」では58日ぶりにアルコール提供し、夫婦や友人など5組の2人客を受け入れた。午後7時まで、それぞれの90分を過ごした。

緊急事態宣言の解除で酒類提供停止要請が一部緩和された。築地では昼飲みもできる飲食店もあったが、足並みはそろわなかった。市場機能をそなえ海産物などの仲卸専門店が集まった「築地魚河岸」では3階のフードコート6店舗で生ビールが販売された。各店から「正午すぎまでに10杯売れた」「待ってたよと常連に声掛けされた」「チューハイも出足がいい」と明るい声が飛び交った。

一方、海鮮丼「築次郎」では「アクリル板が間に合わなくて、ウチの酒提供は22日から。勝負はお客さんが動く土曜の26日ですけどね」と苦笑いしていた。【寺沢卓】