入院、静養から公務復帰した東京都の小池百合子知事は3日午前、選挙戦最終日となった東京都議選(4日投開票)で、特別顧問を務める都民ファーストの会の候補者の応援に、電撃的にサプライズ参戦した。選挙戦最終日になって、選挙応援を「解禁」し、初参戦となった。

小池氏は午前10時半ごろ、東京都中野区の都民ファ候補者の事務所前に、ガラス張りの選挙カーに乗って登場した。都民ファのイメージカラーでもある薄緑のジャケットに濃緑色の手袋で、手を振った。街頭演説には立たなかったが、候補者をグータッチで激励するだけでなく、手を握り合いながら中野駅前などを歩いた。

候補者は「知事も声絶え絶えだったので、聞こえるところと聞こえないところがあったのですが、頑張るのよ~、最後まで頑張るのよ~という声をかけていただいた」。その中でも「絶対勝てるし、勝つんだということ。都政を進めていかないといけないから、都民ファーストの会しっかり」という言葉が印象に残っているという。言葉以上に強く手を握り締めてもらった思いを強く感じていた。

関係者によると、都民ファからの要望ではなく、小池氏自身の判断で選挙戦に加わった。10分ほどで再び選挙カーに乗り込み、次の候補者の選挙区に向かった。病み上がりの状態であるため、体調をみながらではあるが、この日、他の激戦区にも入って激励する予定だという。

小池氏はこれまで、都議選で都民ファ候補者の応援に入るかどうか、明言してこなかった。2日の定例会見でも「東京大改革を担ってくれた皆さんにエールを送っている」「安定的に、大胆に(東京大改革を)進めていくために、多くの皆様方に頑張っていただきたい」と、述べるにとどめていた。

今回の都議選で都民ファ候補は、複数の選挙区で自民、公明両党など主要政党の候補者と議席を争う激戦になっている。定数3議席を5人が争う中野区も、同様の構図の大激戦区だ。一方で、東京五輪・パラリンピックや新型コロナウイルス対応では、自民、公明両党、菅政権との協力が欠かせないことから、小池氏の都民ファ候補応援は、与党や菅政権を刺激しかねない。そのため小池氏は、都議選での応援には入らないとみられていた。

小池氏は、「過度の疲労」で先月22日、都内の病院に入院。同30日に退院し、テレワークで公務に復帰。2日には都庁に10日ぶりに登庁し、2週間ぶりの定例会見に臨んでいた。