今月1日に熊本県水俣市で開かれた伊藤信太郎環境相と水俣病の被害者団体などとの懇談で、環境省側が出席者の発言中にマイクの音を切り発言をさえぎった問題で、伊藤信太郎環境相とともに、会の進行を務めた環境省特殊疾病対策室の木内哲平室長にも視線が注がれている。

懇談では終了間際、マイクの音量が小さくなったことについて、来場者から「音量の調節があったのか」と質問が出た際、木内氏が「事務局の不手際でございました」と繰り返し返答。「音を絞った」ことを明言しなかったことも、出席者の反発を拡大させる結果となった。

伊藤環境相は8日に、熊本県水俣市で被害者側に直接謝罪。木内氏も被害者団体が水俣市で開いた記者会見の場を訪れ「大変不適切で、気持ちを傷つけた」と謝罪した。

これまでのシンポジウムなどで公表されたプロフィルによると、木内氏は慶大医学部を03年に卒業。厚労省保健局や老健局で介護の事案などに従事し、富山県の厚生部長なども歴任した。

環境省では、環境保健企画管理課石綿健康被害対策室長として石綿健康被害の対策にもかかわった。同室長時代の昨年7月には、患者団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」が「木内室長の着任以来、異質な事務局運営」をされてきたとして、抗議文をホームページに公開。前任の室長時に内定していた医療関係者のヒアリングが一時、メールで突如中止されたり、それまでと内容の違う資料が突然提出されるなどの事例があったとし「木内室長の委員会運営は、私たちと環境省石綿対策室の歴代の責任者が築いてきた信頼関係を崩壊させるものでした」としていた。