東京・池袋の都道で19年に乗用車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡した事故の遺族の松永拓也さん(34)が5日「飯塚幸三被告人へ」と題してブログを更新した。

その中で、9月2日に東京地裁で開かれる判決公判を前に、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪で起訴された、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(90)に対し「一審の判決が出たら、もう辞めにしませんか。こんな何も生み出さない無益な争い、もう辞めませんか」と呼び掛けた。

また松永さんはブログの中で、飯塚被告に対し、自分の家族の思いも考えるよう促した。

「私も家族を愛してます。ですから、あなたもあなたのご家族の助言や想いにも、耳を傾けてみてもらえませんか。苦しんでるのはあなただけではなく、事故を起こしてないご家族にも、相当な苦しみがあるはずです。私は被害者遺族ではありますが、同じ事故の当事者として。そして、愛する家族を持つ一人として、どうしてもあなたに伝えたかったです。あなたは裁判で『家族には迷惑をかけたくない』と言っていましたが、この2年、果たしてそうでしたか? 愛の気持ちを持って、ご家族の事を是非改めて考えてみてください」

松永さんは最後に、こうつづった。

「あなたと私で同じ視点に立つ事は決して出来ません。人間であれば皆そうだと思います。だだ、社会に対して争いの感情をばら撒くのはもう辞めませんか。『どうすればこういった事故を無くせるのか』という視点を共に持ちませんか。その為にできる事は、これだけの証拠を前にして『車のせいだ』と言い続けることでは決してないはずです。それが、あなたが真菜と莉子に出来るせめてもの弔いであり、残された人生で、愛を持って出来る事のひとつなのではないでしょうか」(コメントは全て原文のまま)

裁判は7月15日の9回目の公判で結審し、東京地検は禁錮7年を求刑した。