東京・池袋の都道で19年に乗用車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡した事故で、東京地裁は2日、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪で起訴された、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(90)に禁錮5年(求刑禁錮7年)の実刑判決を言い渡した。被害者参加制度を使って裁判に参加した真菜さんの夫の松永拓也さん(35)と父の上原義教さん(64)は判決の言い渡し後、会見を開いた。

松永さんは、今後について「これだけの証拠と、客観的な判決で納得できないなら控訴すれば良いですが…あくまで心情的には、裁判を続けたくない。人と争い続ける私は、2人が愛した私ではない」と、控訴は望まないことを重ねて強調した。一方で「ただ、控訴は、あくまで権利ですから被告が決めること。私には何も出来ない…でも、して欲しくない」とも語った。

報道陣から、飯塚被告の謝罪のチャンスはラストか? と聞かれると「(罪を)認めた上での謝罪もラストチャンスだと思う。私は(謝罪は)刑が確定してからでいい。罪を認めた上で、謝罪してもらえるのであれば、私の心情で受け入れるかは分かりませんですけど、それは受け入れざるを得ない」と率直な思いを語った。

上原さんも「(禁錮)5年でも7年でも、2人は戻ってこない。でも裁判官は思ったより、寄り添ってくれた。感謝します。飯塚さんも、今日の判決を聞き、誤った考えをしたと受け止めて、心からの謝罪をして欲しい。何度も言ってきましたが、人は間違いを犯す。控訴はしないで欲しい…私たちの心を惨めにする、控訴はして欲しくない」と涙ながらに訴えた。