文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(芸文振)が、映画「宮本から君へ」(真利子哲也監督)の製作会社スターサンズが助成金交付内定後に下された不交付決定の行政処分の取り消しを求めた裁判で、不交付決定処分の取り消しを命じる判決を下した東京地裁判決を不服とした、第1回控訴審が26日、東京高裁で開かれた。
被控訴人のスターサンズの代理人を務める弁護団は控訴審後、会見を開いた。スターサンズ側は、20年2月25日の第1回口頭弁論から一貫して「公益性の観点から適当ではないため」との理由による芸文振の不交付決定を、行政裁量の逸脱、乱用だと主張。また芸文振が、映画を作る権利自体を制限する処分(規制行政)ではなく、映画が19年9月27日に公開できたという事実をもって処分と憲法上の問題が無関係だと主張していること、映画の交付時には1つもなかった、助成金の募集案内、要項にスタッフ、キャストが重大な刑事処分を受けた場合は不交付、不交付の可能性がある、公益性の観点から内定の取り消しが出来るとなどと追加の改定をしたことについてもスターサンズ側は疑問を呈し、重要な争点としていた。
弁護団の平裕介弁護士は、芸文振が映画が完成した19年3月12日に出演者のピエール瀧(54)がコカインを使用したとして、麻薬取締法違反容疑で逮捕され、同6月18日に懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡された後、同7月10日付でスターサンズ側に「公益性の観点から適当ではないため」との理由で不交付決定通知書が送られたことに対し、専門とする行政法の観点から疑問を呈した。同弁護士は「交付する芸文振側としては、麻薬取締法の公益を重視すべきだと言っているに等しいが、麻薬取締法は管轄する省庁で言えば厚労省、警察機関、検察官など、刑事に関する期間が主に考慮すべき」と指摘した。
その上で「補助金適正化法、文化芸術基本法、日本芸術文化振興会法という独立行政法人用の法律の、どこを見ても麻薬、薬物とか一切、書いていない。にもかかわらず、行政法の観点から考慮すべきでないことを、公益のひと言で考慮するのは間違っている」と批判。「こんなことが許されるのであれば、例えばですが、映画会社が作った他の映画が気にくわないと、別の映画で何か不祥事があったら交付しないことも十分可能になる。それは危険なことであって、行政法が、わざわざ良い意味での縦割りで公益を規律しているのに、大きく逸脱して麻薬取締法を管轄、重視するかのような判断は大きな問題」と続けた。
その上で「少し話は、ずれるかも知れませんが…今、1番、話題になっている行政法と言えば、皇室経済法だと思うわけです」と口にして、この日、婚姻届を提出した秋篠宮ご夫妻の長女の小室眞子さん(30)と、小室圭さん(30)の結婚にあたり、眞子さんが皇室経済法に規定された国からの一時金を辞退した件と、根は同じだと指摘した。
「皇室経済法6条で、一時金が払われるべきだったわけですけども、辞退されたことは、さまざまな批判があった。例えば、極端なことを言えば、お相手の髪形が長髪であった…それが公益に反するということで、ある意味、辞退に追い込まれた面があると私は思います。極端と感じられる方も、いらっしゃるかもしれませんが、髪形の自由は憲法13条で保障されています。皇室経済法6条の要件は十分、満たしているのに、全く法律と関係ないところで、おかしいという一部の市民の誤解に基づく声を、政府が都合よく考慮して、やっぱり不祥事が問題だと、交付すべきではないと政治家がツイッターでつぶやいたり、縦割りの行政法を無視した反論をした。(辞退に至る流れは)近代国家の大原則を無視している」
その上で、平弁護士は「今回の裁判で芸文振が勝ったら、それが認められること。非常に危険。絶対に負けられない。裁判所には1審は、非常にまともな判断をしてくれましたけれども、正しい判断をして欲しい」と訴えた。

