東京15区は289小選挙区で最多の7候補が入り乱れる激戦だ。

自民党の秋元司前衆院議員がIR汚職事件で離党し、有罪判決を受けたことで公認候補擁立が見送られた。自民党は今村洋史元衆院議員と、柿沢未途前衆院議員の2人を推薦。当選者を追加公認の方向だ。

自民党は今村氏だけを猛プッシュしている。前回17年の衆院選は比例・東海ブロックから出馬(落選)した今村氏は、事務所開きが公示前日と知名度が低い。大物幹部が次々に応援に入り、安倍晋三元首相も「今村さんは知名度が劣るんです。自民党がしっかり推薦しているのを知らない人が多い。写真を撮って拡散して」と懸命に呼びかけた。

対照的に父の故柿沢弘治元外相から受け継いだ地元で09年から5回目の出馬となる柿沢氏に自民党の応援はない。選挙区での勝利は12、14年で、09、17年の比例復活も含め4回連続で当選は続けており、地盤は堅い。立憲民主党会派だったが4日の首相指名選で岸田文雄首相に1票を投じ、会派を離脱。衆院選後に自民党入りする方針の柿沢氏は「地元で地道に真面目にやってきた。よその候補がどうのじゃなく、自分との戦い」とした。

野党統一候補の立憲民主党・井戸正枝氏は、17年選挙で戦った東京4区(大田区)を共産党候補に譲り、19日の公示直前の12日に東京15区に国替え出馬が発表された。井戸氏は「急に来たので、もっと受け入れられないかと思っていたが、転勤とか住居を買ってよそから来た方が多い。子育てとか、福祉に声を上げられなかった部分の受け皿になる」と手応えを口にした。【大上悟】