日本の民間人として初めて国際宇宙ステーション(ISS)に滞在した、衣類通販大手ZOZOの創業者でスタートトゥデイ社長の前澤友作氏(46)が20日午後0時13分(日本時間)、ロシアの宇宙船ソユーズMS-20でカザフスタンの平原に着陸し、地球に帰還した。

直後から大きく手を振り、約6時間後の午後6時3分にはツイッターで「地球なう」と、帰還後初ツイートするなど、元気な姿を見せた。

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大気圏突入の過酷さを物語るように、パラシュートを開いて地表に着いた帰還モジュールは黒く焦げていた。そこから引き上げられた前澤氏は両手を振って満面に笑みを浮かべた。午前5時4分にISSからソユーズに移ると、同8時49分にISSとのドッキングを解かれて宇宙空間に飛び立ち、地表まで3時間24分の旅だった。

関連会社役員の平野陽三氏(36)を伴い、8日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、元TBS記者の秋山豊寛氏以来31年ぶり2人目の日本人の商業宇宙飛行に臨んだ。“宇宙旅行”と自称する一方、費用は1人数十億円ともいわれ「金持ちの道楽」などと揶揄(やゆ)された。その中、11日に自身のYouTubeチャンネルに宇宙から初投稿した動画の中で「自分で頑張って稼いだお金で夢をかなえるのはいいと思う」と率直に語った。

ISSでは、無重力空間で快適に寝る方法の紹介やバドミントンを行うなどの動画配信など、積極的に発信を続け、YouTubeチャンネル登録者数は宇宙で100万人を超えた。職業宇宙飛行士とは一線を画した、民間人ならではの視点からの発信と「子供の頃の夢をかなえた。諦めずに頑張って」などの熱い言葉で多くの人に宇宙の魅力やメッセージを伝えた。

一方で12日深夜にニッポン放送「オールナイトニッポン」に生出演した際、宇宙の厳しさも吐露。「残念ながら気楽な気持ちで来て長い間、滞在するのは体にとっても精神的な面でも厳しい。普通には、まだ来られない」と宇宙旅行が簡単ではない現実も伝えた。

今回の経験を、米宇宙ベンチャー「スペースX」と契約して23年に予定している民間人初の月周回飛行を目指すプロジェクト「dearMoon」につなげる。地球帰還後、初ツイートで投稿した写真に写った、大好きな「カップヌードル」(日清食品)を食べる前澤氏の目の奥は光っていた。【村上幸将】