米アイダホ州で70歳の男性を殺害した容疑で9月に警察に身柄を拘束され、第一級殺人罪に問われていた男性(39)が、カニバリズム(人肉食)の罪で新たに起訴されて話題になっている。

当局が裁判所に提出した書類によると、ジェームズ・デビッド・ラッセル被告は、「自分の脳を治すため」と称して被害者の体の一部を食べていたという。FOXニュースなど複数のメディアが伝えている。

同被告の自宅外にあった乗用車の中で両手首をダクトテープで縛られた状態の被害者が発見され、自宅から遺体の一部が見つかったことから逮捕されていた。

その後の捜査で、血痕のついたナイフやガラスのボウル、ダッフルバッグ、電子レンジも発見され、見つかった遺体の一部と思われるものは検視の結果、加熱されていたことも判明している。28日に公判が予定されている。

10月末に下級裁判所の判事が、第一級殺人罪で裁判にかけるのは不適当だとし、公判手続きが一時中止されていた。同被告は責任能力を判断する鑑定を受けるよう命じられたが、精神鑑定の結果は現時点で明らかになっていない。

同被告は取り調べで、「肉の一部を切り取って、食べることで脳を治すことができると信じている」と供述していたといい、アイダホ州で初となる人肉食の罪で起訴されることとなった。有罪が確定すれば最長14年の禁錮刑になる可能性がある。

人肉食といえば、英俳優アンソニー・ホプキンスが映画「羊たちの沈黙」(1991年)で演じたこともある殺害した人間の臓器を食べることから「人食いハンニバル」とも呼ばれる小説「レッド・ドラゴン」に登場する精神科医で猟奇殺人犯のハンニバル・レクターが有名だが、現実の世界でも過去にロシアやインドなどで似たような事件が起きている。

捜査に当たった刑事は、「私たちが決して知ることのできない多くの側面がある」と事件について語っている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)