ウクライナのゼレンスキー大統領は19日未明、ビデオメッセージを公開し「すべての人に聞いてほしい。特にモスクワに。今こそ会って話すべき時が来た。ウクライナの領土と正義を取り戻す時だ」と、ロシア側に、即時の停戦交渉を呼び掛けた。英BBCなどが報じた。

夜間の屋外の背景と合成したような動画でゼレンスキー氏は「ロシアの『過ち』からもたらされる損害を抑えるためには、対話しかない」とし、「さもなくば、ロシアは数世代に及ぶ損失を被ることになる」と語った。ウクライナとロシアの間ではこれまで、代表団や外相による交渉は複数回行われ、高官レベルのオンライン交渉も行われているが、ゼレンスキー氏とロシアのプーチン大統領との直接対話は実現していない。

また、米FOXテレビ電子版などによると、欧州では、ゼレンスキー氏とウクライナ国民をノーベル平和賞にノミネートする取り組みが始まった。ベルギーのフェルホフスタッド元首相など36人以上の欧州議員らが、22年のノーベル平和賞に推薦する書簡をノーベル賞委員会に提出。今年の推薦は1月末に締め切られたが、議員らは受け付け再開を要請。書簡で「権威主義に立ち向かい、民主主義のために闘う人々を支援することは、我々の義務だ」と訴えている。

一方、ロシアでは18日、「クリミア半島編入8周年集会」が開かれ、プーチン氏が、ロシア国旗を振る数万人の参加者に対し「クリミアでは8年間で多くのことが成し遂げられた」として、クリミア侵攻を正当化した。さらにウクライナに侵攻中のロシア兵について「英雄的」と称賛した。しかし、演説中継が突然途切れ、別の映像に差し替わった。

ペスコフ報道官は技術的な不具合が生じたと説明したが、プーチン氏の演説の中継が途中で途切れる異例のトラブル。ロシアでは14日夜、国営テレビ「第1チャンネル」で看板ニュース番組の放送中に、番組編集者のマリーナ・オフシャンニコワさんが「NO WAR」などと大書した紙を掲げ、約5秒後に画面が差し替わる出来事があったばかりだった。オフシャンニコワさんはその後、退職届を提出している。