ゴールデンウイークも、クマ出没注意だ! 30日午前9時20分ごろ、岩手県遠野市の山林で山菜採りをしていた盛岡市の会社員小野寺光広さん(59)がクマに襲われ、重症を負った。病院に搬送されたが命に別条はないが、額をケガして左腕は骨折。同午前8時半ごろから1人で山に入り、体長約2メートルの成獣のクマに被害を受けた。

日本ツキノワグマ研究所の米田一彦さん(74)は「今年はクマの数も多い可能性がある。春のクマ被害が多発してしまうかもしれない」と警鐘を鳴らした。コロナ禍で観光客が減ったことなどの影響もあり、旅館やクマ肉を扱う料理店などの消費量も激減。「数年は捕獲量が少なかったので、出産数が多い可能性もある」と推察した。

コロナで急増したキャンプ客が襲われた事例も増えつつある。「過去2年くらいのゴールデンウイークは山に入る人の数も少なく静かだった。今年は増えると思うので、人が多いことに慣れていないのでクマがビックリすると攻撃してしまう」。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されていない3年ぶりの大型連休だけに、人の入山も活発となれば、より注意が必要だ。

この日は仙台市など複数の地域でも目撃情報があった。前日28日には福島県会津若松市中心部の鶴ケ城公園に体長約1・2メートルのクマが出没し、約5時間にわたって公園が封鎖され、地元猟友会によって駆除される事例も発生した。都内でも今月に入って複数の目撃情報があるなど全国に及んでいる。「この時期は遠野市もそうでしたが山菜採りが一番危険」。ササの芽やタケノコなど春の新芽がおいしい季節だけに「人間が好む山菜はクマも好むので遭遇してしまう。沢筋や、斜面は特に注意です」と理由を明かした。

1月や2月に生まれた子グマが成長し、母子で攻撃的になる6月ごろが、もっとも警戒が必要だと言う。「人里に下りてくるよりも、山に人が入って襲われることが多い。鈴を付けたりして人間がいることを知らせることも大事」。高額ではあるが「クマスプレー」の効果も実証されている。各都道府県や自治体も注意啓発を徹底している。ポスターなどだけでなく、目撃情報を集めて表示する「クママップ」作成や、ユーチューブ動画なども活用。1人での行動は避けるなど、人の対策が重要となる。【鎌田直秀】