ロシアのプーチン大統領が所有している可能性が取り沙汰されていた世界最大級の豪華ヨットが6日、イタリア政府によって差し押さえられたことが分かった。

ウクライナ侵攻に対する欧州連合(EU)の対ロシア制裁措置の一環で、イタリア当局が3月から所有者を捜査していた。米ニューヨーク・ポスト紙などによると、「シェヘラザード」と名付けられた推定7億ドル(約910億円)とされる全長約140メートルのヨットは、停泊していた同国北部マリーナ・ディ・カラーラの港から出航する準備が進められていたという。

イタリア政府はヨットの所有者の名前を公表していないが、収監中のロシア反政権指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の反汚職団体はかねてから「ヨットはプーチン大統領のものだ」と主張しており、ニューヨーク・タイムズ紙も大統領との関連性を指摘していた。地元メディアはヨットの所有者はロシア国営石油大手ロスネフチの元CEOエドゥアルド・フダイナトフ氏だが、それは真の所有者を隠すためだと信じられていると伝えているという。

報道によると、2020年にドイツの造船所で建造されたヨットは6階建てで、22のキャビンに2つのヘリポート、屋内プールにスパ施設なども備わっているという。

ロシア新興財閥オルガルヒが所有する豪華ヨットを巡っては、5日にも米国で制裁対象となっているスレイマン・ケリモフ氏が所有する推定3億2500万ドルのヨットが停泊していたフィジーの当局によって差し押さえられている。米司法省はプーチン大統領に対する圧力強化の一環として資産差し押さえを強化しており、メキシコから太平洋を航海して先月フィジーに入港した同氏のヨット「アマデア」の差し押さえをフィジー政府に要請していたという。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)