参院選長野選挙区(改選1)に自民党公認で出馬したタレントの松山三四六氏(52)が9日、街頭演説を飯田商工会館駐車場からスタートした。

安倍晋三元首相(享年67)が遊説中に奈良市内で銃撃され、死去した事件から一夜明け、「まずは、安倍元総理、心からご冥福をお祈りいたします。願わくば、多くのご指導鞭撻(べんたつ)、お叱りをお受けしたかった、最も尊敬する政治家の先生のおひとりでございます。その願いが寸前で途絶えてしまったことに、私は昨日、自らの心持ちをどう収めればいいのか分かりませんでした」と声を震わせ、天を仰ぐような動きを見せた。

選挙戦最終日のこの日、演説を再開した松山氏は、防弾チョッキを着て防弾カバンを持った10人ほどのSPと長野県警の警察官に護衛されながら、マイクを握った。「志半ばで旅立たれた安倍先生の悲願である、日本を美しく、日本を取り戻す、国民みんなで作り上げる新しい憲法、強い国の形、国際平和…」などと呼びかけ、集まった人たちと握手していた。

松山氏を巡っては、後援会事務所に「次はお前だ。ライフルを持っている」とする電話が安倍元首相への銃撃事件の約30分後にあったとして、事務所が長野県警に相談していたという。

8日には「いかなる理由があろうとも、テロは断じて許されるものではありません 安倍元総理のご無事とご回復を心よりお祈り申し上げます 本日は全ての活動を中止させていただきます」とツイートしていた。

安倍元首相は、当初の予定では松山氏を応援するため8日夕に長野県を訪れる予定だった。しかし、文春オンラインが6日、松山氏が2012年に当時20代だった女性と不倫し、妊娠した際の人工中絶同意書に偽名で署名していたと報じていた。その後、安倍元首相は急きょ長野入りを取りやめて奈良県へ向かう日程に変更していた経緯がある。

長野選挙区には立憲民主党杉尾秀哉氏(64)ら計6人が出馬している。