安倍晋三元首相が応援演説中に銃撃され死亡した事件の現場となった奈良選挙区では、自民現職の佐藤啓氏(43)が、当選確実となった午後8時すぎ、紺色のスーツ姿で、うつむき加減のまま事務所へ入った。

会見した佐藤氏は「これまで安倍元総理にご指導頂いた経験を生かして、この国のため、国民の皆さまのために全力で働く」と、再選に意を新たにした。

選挙戦中盤の先月28日に続き、終盤の8日にも、自身の応援演説に駆けつけた安倍元首相が悲劇に見舞われた。事件後の心境には「悲しくて言葉になりませんが、テロにひるむことなく勝ち抜こうという気持ちでやらせていただいた」。事件翌日の9日は街宣活動を中止。代わって「通常の車に乗って、礼服を着て」各所で待つ支援者の元へ訪ねていたという。

安倍元首相への思いは「自らの政治理念や政策実現に関して、真の意味で戦い抜く方という風に思っていました。政策実現に懸ける情熱を見習っていきたい」と尊敬の念を抱く。

今後は「(安倍氏が取り組んでいた)憲法改正を中心に、思いに応えていきたい」とも語った。

この日は、当選確実が伝えられても、選対本部の役員だけを招集し、静かな中で報告を行うにとどめた。選挙活動中、事務所の壁一面に貼られていた、党幹部メッセージ入りポスターも、すべて撤去。中には安倍元首相からのものあったが「しめやかにやろうという方針で(外しました)」と明かした。

11日には安倍氏の通夜へ出席予定で「(通夜では)総理の力をお借りして勝ち抜くことができたと伝えたい」と語った。

【関連記事】参院選ライブ速報