将棋の最年少5冠、藤井聡太王位(竜王・叡王・王将・棋聖=20)が豊島将之九段(32)の挑戦を受ける、「お~いお茶杯第63期王位戦7番勝負第3局」が20、21の両日、有馬温泉(神戸市北区)の老舗旅館「中の坊瑞苑(ずいえん)」で行われ、84手で後手の藤井が勝ち、対戦成績を2勝1敗とした。19日に20歳になった藤井が20代初戦を白星で飾った。第4局は8月15、16日、佐賀県嬉野市「和多屋別荘」で行われる。

1勝1敗で迎えた第3局。シリーズの流れを大きく左右する大一番の戦型は第1局から3局連続の角換わりへ進んだ。2日目は、ねじり合いの難解な中盤戦、藤井が敵陣に角を打ち込んで攻め、豊島が受ける展開に。豊島は59手目に昼食休憩をはさみ3時間3分の大長考。藤井は緻密な読みで完全にペースを握り、正確な指し回しで寄せきった。

終局後、藤井は「ちょっと経験の少ない形になり、序盤から難しい展開になってしまったのかなと思っていた」と振り返った。

第1局に完敗した藤井が2連勝。これで豊島との公式戦の対戦成績は15勝11敗。両者は昨年、王位戦、叡王戦、竜王戦と3つのタイトル戦を戦い、藤井がすべて勝利した。

棋聖戦で3連覇を果たし、中2日での対局だったが、これでタイトル戦4連勝。タイトルホルダーの宿命としてハードスケジュールが続くが、間隔の詰まった実戦を重ね、藤井が再び、絶好調モードに入った。

次戦に勝てば王位3連覇へ王手をかける。「第4局はしばらく先になるので、しっかり休養し、コンディションを整えて臨みたい」。20歳初白星を挙げた藤井は静かに語った。